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亀オヤジも涙「辛かった」/ボクシング
亀オヤジも涙「辛かった」/ボクシング
12月21日9時55分配信 日刊スポーツ

<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇20日◇東京・有明コロシアム◇観衆1万人
 WBA世界ライトフライ級王者亀田興毅(20=協栄)が涙の初防衛を飾った。同級1位ファン・ランダエタ(28=ベネズエラ)との因縁の再戦で、3-0の大差判定勝ちを収めた。従来のガードを固めて突進するファイトからフットワークを使うアウトボクシングに変身。圧勝につなげた。8月の初戦は微妙な判定にもつれた。バッシングにも見舞われた。体を張って自分を守ってくれたトレーナーの父史郎氏(41)とともに磨いた新スタイルでの完勝に、亀田の涙は止まらなかった。
 判定のアナウンスを聞くまでもなく、勝利を確信してコーナーを飛び出した。初防衛に成功した興毅と抱き合い、トレーナーの父史郎氏がうれし涙を流した。微妙な判定からバッシングにさらされた4カ月間。いつも励まし、支え、時には体を張って息子を守ってきた。試合後のリング上で息子の感謝の言葉に目頭を熱くした。
 「プレッシャーを乗り越えて興毅はようやった。もう、変な試合はできんかった。オレらは文句言われることをバネにやってきたんや。この試合は10試合分の重みがある。壁を破ってくれたんが、うれしいんや」。
 リング上の敵だけでなく、世間のバッシングとも戦う日々だった。週刊誌のマークがきつくなった8月以降は、東京・葛飾区内の自宅に警備員を1人、24時間態勢で配備して息子をガードした。
 大阪在住の兄浩之氏(42)からは毎日のように心配する電話がかかってきたが、史郎氏は「オレは強いから大丈夫や」と泣き言を漏らさなかった。身内にさえ強がって見せたが、本当は精神的に追い込まれていた。「つらかった。毎日や、毎日つらかったで」。試合後は重圧の日々を振り返り、本音をこぼした。
 「オヤジは横におるだけで存在感あるし、悪者になってくれた。そういう姿が支えになってるよ」。そんな興毅の言葉に史郎氏は「ええ勝ち方してくれてうれしい」と笑顔で返した。そして「世間をちょっと見返したったわ」と胸を張った。逆風の4カ月間を乗り切ったのは、亀田家の強いきずなだった。【大池和幸】