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森田氏は亀田戦「115対112」/ボクシング
森田氏は亀田戦「115対112」/ボクシング
12月21日9時55分配信 日刊スポーツ

<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇20日◇東京・有明コロシアム◇観衆1万人
 WBA世界ライトフライ級王者亀田興毅(20=協栄)が同級1位ファン・ランダエタ(28=ベネズエラ)との因縁の再戦で、3-0の大差判定勝ちを収めた。世界戦100試合を裁いた名レフェリー、森田健氏(71)が、亀田の完勝を認めた。WBC審判委員も務めるアジアNO・1審判は「115-112で亀田の勝ち」と採点。8月の世界戦で「微妙」といわれた採点にも触れ、試合全体を楽しむファンと各回を分析する審判との見方の違いを説明した。亀田によって話題になった採点。これが、日本ボクシング普及のきっかけになるとも期待した。
 リングサイドで試合を見つめた森田氏は、試合中につけたメモとこの日の審判の採点を見比べ、納得したような表情を見せた。亀田は常に積極的な姿勢を崩さず、確実にポイントを稼いだ。特に、相手をロープに詰めての連打は、採点の上でも高評価となった。
 森田氏「私がランダエタに付けたのは1、3、4、9回。それも、わずかな差でした。明らかにランダエタのラウンドというのはなかった。誰が採点しても、今日は亀田の勝ち。確かにロープ際の連打はダメージは少なかったかもしれません。でも、パンチは的確だったし、高得点です。何より、採点の重要な要素である積極性がありました」
 8月の試合は、当初「亀田の負け」だと思ったという。ところが、その後ビデオでラウンドごとに採点をやり直すと、結果は亀田の勝ちだった。そこに、ボクシングの採点の難しさと奥深さがあるという。
 森田氏「ダウンしたことと、11、12回にフラフラになったことで、誰もが亀田の負けと思ったでしょう。試合全体の印象としては間違っていません。でも、1回ごとに採点をすれば、結果は違う。それが、ボクシングの採点なんです」
 64年にプロボクサーから転向し、レフェリーとジャッジで約3万試合を裁いてきた。04年に「年齢的な衰え」を理由にレフェリーを引退。しかし、WBCからは請われてジャッジを続けている。そのWBCは、11月から4回ごとに採点を公表する「オープンスコアリング・システム」を導入した。世界中で採点が問題になっているからだ。
 森田氏「審判の問題は、今後も考えていかなければならないですね。より分かりやすく、より正確に。採点の公表は、賛成ですね。透明性も増すし、負けている選手が積極的になるなど試合にも好影響がある。いずれは、WBAも公表するんじゃないですか」
 10日には、モスクワでWBC世界ヘビー級戦を担当した。王者マスカエフが3-0でオケロ・ピーターを下した試合が、ちょうど通算100試合目の世界戦。日本はもちろん、アジアでもダントツだ。101試合目も「オファーが来れば」と前向きに考えている。
 森田氏「長く審判をやっていて、採点がこれほど注目されたのは8月の亀田の試合があったから。確かに微妙な判定でしたが、今まで興味のなかった人にも知ってもらえたのはいいことですね。今、日本には世界王者が6人います。亀田の試合が、日本ボクシング界が盛り上がるきっかけになってくれると思います」
 世界戦100試合、計3万試合を裁いてきた森田氏の確かな目は、しっかりとボクシング界の未来を見据えていた。【荻島弘一】