どんなもんじゃい!亀田号泣、因縁再戦制し初防衛
12月21日8時2分配信 サンケイスポーツ
プロボクシングWBA世界Lフライ級タイトルマッチ(20日、有明コロシアム)どんなもんじゃい!! 王者・亀田興毅(20)が、挑戦者フアン・ランダエタ(28)との因縁の再戦で3-0の判定勝ち。初防衛に成功した。微妙な採点結果が論議を呼んだ前回の判定勝利には“バッシング”が巻き起こったが、今回は勝利に徹するアウトボクシングを展開。ジャッジの1人は11ポイントもの差をつける完勝だ。来年はWBC王座との両団体統一戦も構想し、野望に向かって勢いづく。
〔写真:倒さずに勝つ、ニュー亀田を強烈アピール。またひとつ成長した〕
自信が確信になった。もう、だれにも文句はいわせない。最終12回。赤コーナーから飛び出した亀田は、両腕を突き上げ、スタンドの観衆に勝利のパフォーマンス。試合終了のゴングとともに、父・史郎トレーナー(41)もリングに飛び込み、判定が告げられる前に息子を抱き上げ、喜びをわかち合った。
「どんなもんじゃい!!」
12回にバッティング行為で減点されたが、ジャッジの1人が全ラウンド10-9で亀田につける完勝だ。ランダエタのパンチをほとんどもらわず、きれいな顔のまま、得意のフレーズを叫んだ。そして、これまでの父のサポートに触れ、「オヤジ、ありがとう」。グローブを外した手で顔を覆って号泣した。
8月2日、ランダエタとの王座決定戦に2-1の判定勝ち、悲願の世界王座に就いて涙を流した。だが、1回に生涯初のダウンを喫したことも影響して判定が論議を呼んだ。相手を見下すような言動が批判の的となり、史郎さんの“反論”も反感を買って、亀田家への“バッシング”となった。10月18日に再戦が決まったが、9月下旬のスパーリング中に左まぶたを8針縫う負傷で延期。「疑惑の負傷」と、いわれのない中傷も受けた。
「この4カ月、正直、何も楽しいことはなかった」
前回対戦以来、“宿敵”となったランダエタとの間に完全決着をつけることが、自ら課した至上命題。辛辣な意見を投げてきた世間を見返す唯一の方法であることも、わかっていた。
そのために、ファイトスタイルを変えた。ひたすら前進してプレッシャーをかけ続ける闘い方を、今回はガードをあごの上に置く自然体に戻し、リング中央で構える相手を中心に置き左右に動くスタイルに変えた。ランダエタのパンチが届かない距離を12回、キープし続けた。打って勝つことを封印し、打たせずに勝つことに徹した。
「亀田とKOはセット」-デビュー以来、口にしてきたキャッチフレーズは守れなかった。会場が沸いたのも試合後半、ロープに詰めて連打を見舞った数度のシーンだけ。亀田自身、控室に戻ると「ちょっと安全運転だったな」と、ジム関係者に思わずもらしたという。それでも、「今回だけは、何があってもクリアせなあかん試合やった」(史郎さん)。バッシングの矢面に立ってくれた父のために、“信念”を曲げてでもベルトを守りたかった。
来年3月、両国国技館で次戦を行うことが決まっている。史郎さんは将来的にWBC王者との統一戦を構想するが、この内容を評価して、次戦で組まれる可能性も出てきた。亀田自身が最終目標とするフライ級、Sフライ級を制しての3階級制覇も、来年中には着手するつもりだ。どちらもいまだに日本のジム所属選手で成し遂げた者はいない。
「これから、もっと磨き上げて、新しいスタイルをつくっていく」。越えねばならない壁を越えた浪速乃闘拳が、07年、またひとまわり大きくなる。