亀父も歓喜の雄叫び…WBA世界ライトフライ級タイトル戦
亀父も歓喜の雄叫び…WBA世界ライトフライ級タイトル戦
12月21日8時2分配信 スポーツ報知
◆プロボクシングWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 ○亀田興毅(12回 判定3-0)ファン・ランダエタ●(20日、東京・有明コロシアム) 興毅の初防衛に、父・史郎さん(41)が歓喜の雄たけびを上げた。8月2日の世界奪取から言われなきバッシングを受けてきた史郎さん。時には体を張り、時には沈黙を貫いて息子を守ったオヤジは、リング上で「もっと興毅を応援したってな!」と絶叫。今後は鬼オヤジに戻ってさらなる特訓を課し、目標に掲げる3階級制覇を誓った。
こぼれ落ちそうになる涙を、史郎さんは歯を食いしばってこらえた。勝利インタビューを受ける興毅が感極まった。瞬間、リング上で初めてマイクをつかんだ。「みんな! これからも興毅を応援したってな!」オヤジの絶叫に、息子の涙は止まった。どんな時でも家族を守るオヤジの姿を、歓喜のリングでも存分に見せつけた。
あの8・2から4か月。判定をきっかけに猛烈なバッシングを受けた。それまで絶賛していた人々が手のひらを返す姿に心が揺らぐこともあった。外出すればパパラッチの餌食になった。我慢できない中傷には、テレビ局に乗り込んだこともあった。すべては「家族を守るのはオヤジとしてのオレだけや」の熱い思いから出た行動だった。
沈黙を貫いた時もあった。実は長女の姫月ちゃんから、小学校でいじめを受けていると泣きながら打ち明けられた。命より大切な家族が、自分が世間に出ることでいじめられている。悩んだ末の結論が沈黙だった。表に出るのも黙るのも、すべては家族のためだった。
「こいつらの父親はオレだけ。オヤジが子供のことを考えるのは当たり前やん」過激な言動は時に物議を呼んできた。ただ、史郎さんは社会人である前に、父として生き抜く覚悟を決めている。哲学は「子供らを信じること」宿敵ランダエタが待つリングへ向かう時、何度も何度も「興毅を信じる」とつぶやいた。前回はびんたを張ったインターバルでは、常に興毅の背中を支えた。
「点数で言ったら30点。それで壁を突破したから大したもんや。ただ、これで終わりやない。世界にはもっと強いヤツがおるから練習させるわ」興毅の進化に刺激されオヤジも走り続ける。