バッシングKO!パパも感無量
12月21日6時3分配信 スポーツニッポン
親子で逆風をはね返してみせた。興毅の父でトレーナーの亀田史郎さん(41)は、8月の微妙な判定による世界ベルト奪取後、自ら盾になり吹き荒れるバッシングの嵐から長男を守ってきた。だが、喜びに浸りつつもV1には満足せず、浪速の闘拳のさらなる進化を約束した。
興毅の感謝の言葉には思わず目を潤ませた。試合後の勝利インタビュー。父に対する思いを尋ねられた興毅が「いろいろバッシング受けたけど、オヤジが守ってくれたから…」と言って涙ぐむと、史郎さんは王者を抱きしめ「これからも興毅を応援したってな!」と会場のファンに呼びかけた。「壁は自分で打ち破らなアカンかった。8月の試合と比べたらよかったけど、点数をつけたら30点やな」
厳しい評価にも、胸の内は喜びと感動でいっぱいだったに違いない。「世間を納得させる試合をせなアカンかった」。結果は最大11点差をつけての判定勝ち。「よう頑張ったよ」と健闘を称えた。「世間の風当たりが悪かったけど、不細工な試合をした方が悪い。この4カ月間、プレッシャーがある中でよく乗り越えたと思う」
8月に微妙な判定勝ちで世界奪取後、興毅が痛烈にバッシングされた。史郎さん自身も出演したテレビ番組で漫画家やくみつる氏と舌戦を展開。以降も多方面から批判も浴びたが「子供を守るのが親父の務めや」と矢面に立った。
世間の逆風をはね返すため、亀田親子は危険な賭けに出た。ガードを高く上げる、これまでのスタイルからガードを下げて足を使うボクサーファイターに“変身”。かたくなに貫いてきた「亀田流」を捨ててまでモデルチェンジを図った。
「この4カ月間、どうすればいいか考え続けてきた。原点に戻った」
04年2月のタイ合宿でWBC世界フライ級王者ポンサクレックとスパーリングした時のVTRを見直した。「ポンサクとやった時が一番良かった」。たどり着いたのは幼少時代の空手の経験を生かしたスピード感あるボクシングだった。
どんなにつらい時も、親子の絆は切れなかった。約4カ月にわたる親子の“挑戦”が結実。「いろいろあったけど、いい年やった。でも来年はもっともっと進化せなアカン」。決して満足はしない。これからも興毅とともに強くなる。