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<ボクシング>採点公開制に賛否両論
 世界ボクシング評議会(WBC)が今月からオープン・スコアリング・システム(採点公開制)をルール化し、13日のダブル世界戦(東京・日本武道館)から実施された。四回と八回の終了後にその時点の採点を発表するもので、判定の透明度を高め、観客にも分かりやすくすることが狙い。関係者やファンからは賛否両論が聞かれた。
 ダブル世界戦では、電光掲示板とアナウンスで公開。バンタム級戦では減点の集計が間に合わず、八回終了後に予定していた発表が九回終了後にずれ込んだが、混乱は起きなかった。
 会場のファンの反応は、おおむね好評。横浜市の男子高校生(16)は「ボクシングを見始めたばかりなので、非常に分かりやすい」といい、ファン歴15年という東京都杉並区の男性(32)も「いつも自分も採点して見ているが、自分とどこが違うか途中で分かるのはいい。楽しみが増えた」と歓迎。「最後までどっちが勝っているか分からないという緊張感があった方がいい」(横浜市の59歳女性)という反対意見は少数だった。
 一方、戦った選手には戸惑いもあったようだ。きん差の判定勝ちを収めたWBCミニマム級王者のイーグル京和(角海老宝石)は、四回終了後に審判三者とも3点リードの発表を聞き、「いつもは2点負けていると思って戦うが、今回は勝っていると安心し、六回のダウンにつながった」という。大差の判定だったWBCバンタム級王者の長谷川穂積(千里馬神戸)は「採点を知らない方が緊張感を持って戦える。次からは(発表を)聞かないようにしたい」と苦笑した。
 採点公開制は過去にも数試合で試されたが、長続きしなかった。99年に米国で行われた国際ボクシング連盟(IBF)の世界戦では、八回終了時に7~8点リードと知った地元選手が九回以降逃げ回り、観客をしらけさせた。途中で観客が騒ぎ出したり、審判に重圧がかかって、適正な判定が下せなくなる危険性も指摘されてきた。
 それでもWBCが今回ルール化したのは、判定問題が後を絶たないためだ。日本でも8月にWBAライトフライ級世界戦で亀田興毅(協栄)が微妙な判定で勝って物議を醸したばかり。
 今回の判定について、日本ボクシングコミッションの安河内剛事務局長は「審判もより集中して採点した。WBA(世界ボクシング協会)にも影響を与えるだろう」と評価する。月刊誌「ボクシングマガジン」元編集長、原功さんは「採点公開制の試合を多く実施してプラス面とマイナス面を分析し、そのうえで再検討すればいい。時代やファンのニーズに、競技の方が合わせることも必要だ」と提言した。【来住哲司、堤浩一郎】
(毎日新聞) - 11月27日10時10分更新