興毅 がん闘病少年にKO防衛誓った
ボクシングのWBA世界ライトフライ級王者・亀田興毅(19)=協栄=が10日、東京・新宿区の協栄ジムで会見を行い、9月29日に左まぶたを負傷して以来、初めて公の場に姿を見せた。この日は負傷した左まぶたの傷口を公開した一方で、12月20日の初防衛戦に向けてがん末期の少年との秘話を報道陣に明かした。仕切り直しとなったランダエタとの因縁の再戦を控え、病床に伏す少年にKO防衛を誓った。
興毅は神妙な面持ちで少年の話を切り出した。「がんを宣告された男の子が俺を応援してくれてん。その子はいつ死ぬか分からんぐらいの状態で、10月の俺の試合を楽しみにしてた。だから10月は絶対にやりたかった。延期したくなかったんや」。一瞬、厳しい表情を見せ唇をかみしめた。
少年との“出会い”は偶然だった。茨城県に住む興毅の知人が通院する病院で、少年は入院していた。興毅の知人が、少年が興毅のファンであることを聞きつけ、興毅に伝えた。少年は小学3年生で、2年前にがんを宣告され、今年4月には医師から「余命1カ月」を通達された。
知人によれば、少年の興毅を思う気持ちが驚異的な生命力につながっているという。余命1カ月。明日をも知れぬ命の少年は、興毅の闘う姿に勇気付けられ、5月、8月と、興毅の試合を目標に必死に生き延びてきた。そして、今回は10月の初防衛戦を目標に病魔と闘ってきた。
俺より強い 興毅は少年との対面は果たしていないが、9月上旬に試合で使用したグローブにサインをし、少年へ贈った。ほどなくして少年からお礼の手紙が興毅のもとに届いた。手紙にはこうつづられていた。「興毅さんの強い姿にいつも勇気付けられています。防衛戦はぜひ頑張って下さい」。
現在も少年はベッドの上で闘病生活を送っている。興毅は誰のためではなく、少年のためにベルトを守ると言い切る。「俺よりもこの子の方が強いよ。俺もまわりにいろいろ言われたけど、この子に勇気をもらった。それをリングの上で証明する」と病床の少年へ熱いメッセージを送った。
(デイリースポーツ) - 10月11日10時54分更新