亀田興 微妙な判定で世界王者 WBAライトフライ級
世界ボクシング協会(WBA)ライトフライ級王座決定戦12回戦は二日、横浜市の横浜アリーナで行われ、19歳の亀田興毅(協栄)がフアン・ランダエタ(ベネズエラ)に2-1の微妙な判定で勝ち、チャンピオンの座に就いた。10代での世界タイトル獲得はファイティング原田、井岡弘樹に次いで日本選手史上3人目。
亀田は1回にダウンするなど、内容的には劣勢だった。しかしジャッジ3人の採点は2-1と割れ、亀田が際どく判定勝ちを収めた。
〝違う力〟働いた?
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2006/08/03
亀田選手の微妙な判定勝ちを、兵庫県内のプロボクシング関係者らはどう見たのか。
「おかしい。完ぺきに負けている」とあきれた様子で話すのは、明石ボクシングクラブの吉田欽哉会長(65)。地元と敵地での判定の偏りは付き物だが、今回の結果には、「亀田という選手は別個だから。別格でもなく、別団体みたいなもの」と判定には“違う力”が働いていたとみる。
姫路木下ボクシングジムの木下貴志会長(33)は「亀田の1ラウンドのダウンは中盤で盛り返したかに見えたが、終盤にダウン寸前まで押し込まれ、やや不利かと思った。採点の基準を、亀田のダメージのあるパンチに置くか、相手の手数に置くかでジャッジの判断も異なる。亀田はラッキーだった」と分析した。
世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王者、長谷川穂積選手(25)が在籍する千里馬神戸ジムの千里馬啓徳会長(48)は、「ダウンを奪われた後は五分の勝負をしていた。素晴らしい素質を持った選手だから、防衛戦を重ね、経験を積んでほしい」と話した。
長谷川選手を応援し続けている神戸市長田区の六間道商店街の増井宏行理事(47)は「判定への疑問は残るが、それは本人が一番分かっているだろう。周囲からは疑問の目で見られるだろうが、それをはねのけて、立派な王者になってほしい」とエールを送った。
試合直後から神戸新聞社運動部には、判定結果を疑問視する読者からの電話が相次いだ。神戸市垂水区の会社員(58)は「どうしてこんなことが起きるのか。いさぎよく自分の負けを認めてベルトを返上し、再挑戦するべきだ」と語気を強めた。