亀田3兄弟の二男「浪速の弁慶」亀田大毅(17=協栄)が、進化した「右」で兄弟同時のKO勝利を狙う。12月20日、東京・有明コロシアムでのプロ7戦目に向けて27日、都内でスパーリングを公開。これまでの必殺パンチは左だけだったが、この日は強烈な右アッパー、右フックを披露した。次戦は、兄でWBA世界ライトフライ級王者の興毅(20)とそろい踏みの「亀田のけんか祭り」。左右の必殺パンチを習得した大毅はKOで、ランダエタとの再戦に臨む兄に勢いを与える。
もう左だけではない。来月20日のプロ7戦目に向けたスパーリング。大毅は、得意の左ではなく右で、スパーリングパートナーのフィリピン・フライ級王者バルドン(27)の表情をゆがませた。アッパー、フック、ストレート…。必殺の左フックに、強烈な右が加わった。大毅は「この1年は左だけで勝ってきた。そろそろ右も使わないとな」と納得の表情を見せた。
これまでは右を封印してきた。初の世界ランカーとの対戦となった前回9月27日のプロ6戦目。3人のジャッジのうち、1人がドロー、2人が1点差という2-0のきん差判定勝利だった。「前回は左だけで勝てると思った」と大毅。右はほとんど打たず、デビューから磨いてきた左にこだわった結果でもあった。だが対戦相手が厳しくなる今後は、そうはいかない。右の強化で、左右での必殺パンチを身につけることになった。
報道陣にボクシングを公開したのは、そのプロ6戦目以来、丸2カ月ぶり。進化の跡は、右だけではなかった。兄興毅と同様に「新亀田流」も披露した。ガードを下げ、前後左右に足を使うオーソドックスなスタイルを見せた。今までは興毅以上に、猪突(ちょとつ)猛進型だったが、軽やかなステップを使い、抜群のタイミングでのフェイントを見せる場面もあった。確実にボクシングスタイルは進化していた。
「オレだけ勝っても喜べない。兄弟で勝って、お客さんにも喜んでもらいたい」。5月5日以来の兄弟そろい踏みとなる「亀田のけんか祭り」。兄興毅は、ランダエタとの大事な再戦が控える。大毅は、進化したボクシングでスッキリとKO勝利を飾り、最高の雰囲気で兄にバトンを渡したい。「2人でKOして1年を締めくくる」と大毅。注目の大舞台で、兄の最高のアシスト役になれば、来年には世界挑戦も見えてくる。【田口潤】
(日刊スポーツ) - 11月28日10時14分更新